白黒フイルム現像のしくみ

著者: mahoroba

白黒フイルム現像のしくみ









先日、小中学生向けにフイルム現像を教える機会がありました。




その際、仕組みやら原理やらを一通り調べたのでここに記そうと思います。



私は理系ではないので定義とがその辺があいまいなところがありますがご容赦ください。





目次

1.感光
2.現像
3.停止
4.定着
5.水洗促進剤
6.dw








1.感光







フイルムの表面(粗い面)には臭化銀AgBrの結晶が塗布されています。










臭化銀を含むハロゲン化銀*は強い感光性**を持ち、光を当てると分解し、銀を遊離します。









フイルムに塗布された結晶はその全てが感光するわけではなく、分離する臭化銀は一部にとどまります。









感光の図解↓



光のエネルギーにより、臭素から飛び出した電子を銀イオン(電子を奪いやすい性質を持つ)が奪い取って単体に戻るという構図。








*銀とフッ素・塩素・臭素・ヨウ素などのハロゲン元素が結びついた化合物のこと

**光エネルギーにより銀が遊離する性質のこと









2.現像







感光してできた銀の塊(潜像核)だけでは何が写っているのか全く分かりません。

そこで必要になってくるのが「現像」作業です。




現像液(D-76)の主な成分

名称組成役割
ハイドロキノンC₆H₄(OH)₂明部の現像主薬
メトールC₁₄H₂₀N₂O₆S暗部の現像主薬
亜硫酸ナトリウムNa₂SO₃酸化防止剤として
ホウ砂Na₂B₄O₇液性を塩基性に保つ








モノクロネガの黒色の部分は単体の銀の塊で構成されています。


現像前のフイルムに存在する単体の銀(潜像核)は肉眼で見ることができないほど細かく、これを肉眼で見ることのできる大きさまで成長させる必要があります。



現像主薬であるハイドロキノン、メトールは潜像核Ag付近で水素イオンH⁺及び電子e⁻を遊離する。


現像前から存在する潜像核、単体の銀は電極のような働きをし、e⁻を周囲にひきつける。集まった電子は周辺のAg⁺と結合し単体の銀となる。(Ag⁺+e⁻→Ag)このようにして銀の塊が形成される。




臭化銀AgBrは難溶性の塩、e⁻を受け取って中性になったAgはBr⁻を切り離す。離れた臭化物イオンは水中に溶けだし、一部はナトリウムなどと結合する。

ハイドロキノンからの水素イオン、電子の遊離






銀塊の生成




停止…見て名の通り現像を停止させる作業。


使用するのは酢酸水溶液。酢酸は一部水溶液中で酢酸イオンと水素イオンに電離する。(CH₃COOH⇄CH₃COO⁻+H⁺)濃度が低くなるほど電離度が上がる。



現像液の活性は塩基性であるほど高く、中性に近づくにつれて活性が落ちる。これはルシャトリエの原理「平衡状態にある系に外部から変化を加えると、その変化を打ち消す方向へ平衡が移動する。」のよるもので、ハイドロキノンの酸化反応に当てはめると、



C₆H₄(OH)₂⇄C₆H₄O₂+2H⁺+2e⁻となる。H⁺が多く溶け込む酢酸水溶液が現像液に流入すると、液中のH⁺濃度が上昇することで平衡が左に移動する。その結果、C₆H₄O₂+2H⁺+2e⁻→C₆H₄(OH)₂の方向が有利になり、ハイドロキノン、メトールからH⁺、e⁻の電離が減り、現像が止まる。




定着…未反応の臭化銀を除去する工程



定着液(スーパーフジフィックス)の主な成分

名称組成役割
チオ硫酸アンモニウム(NH₄)S₂O₃銀を溶かす
チオ硫酸ナトリウムNa₂S₂O₃銀を溶かす
亜硫酸水素ナトリウムNaHSO₃酸化防止剤として
酢酸ナトリウムCH₃COONa液性を酸性に保つ






現像・停止後のフイルムには未反応の臭化銀が残っている。これをそのまま放置すると感光、黄変、長期保存ができなくなる等不都合が起きる。




チオ硫酸ナトリウム・アンモニウムが電離してできたチオ硫酸イオンがフイルム表面の臭化銀とくっついて可溶性の錯イオンになる。




フイルムの表面にはスポンジのような層があるみたいなので、溶けだしたイオンの一部はそこにひっかかってしまう?

ねf